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物流センターの設備設計で失敗しないポイントとは?

建設業におけるCIM、BIMとの違いアイキャッチ

「物流センターの設備設計、何から手をつけていいかわからない」と悩んでいませんか?

物流拠点の立ち上げや増設を任されたものの、「どの設備を導入すればいいのか判断できない」と悩む方は少なくありません。

そこで、今回は物流センターにおける設備設計の基本から、よくある失敗とその対策、設計事務所選びのポイントについて解説します。

この記事を読めば設備設計を成功させるための考え方や実践的な対策、依頼先選びのコツがわかるので、ぜひ最後まで読んで学んでください。

物流センターにおける設備設計の重要性

物流センターの稼働効率やコスト、将来の拡張性は、設備設計に大きく左右されます。

建築だけでなく、設備面での最適化こそが、安定運用の鍵を握ります。

ここでは、物流センターにおける設備設計の重要性について解説します。

なぜ物流センターの設備設計が事業の成否を左右するのか

物流センターにおける設備設計は、単なる「機器の配置」ではありません。

物流業務の全体最適化、ひいては事業の成否を左右する戦略的な要素です。

設備設計が適切でなければ、荷物の搬送効率が下がり、人や機器の動線が無駄に交錯し、作業時間や人件費が余分にかかってしまいます。

さらに、冷暖房や照明、通信設備の設計が不十分だと、作業環境の悪化やトラブルの原因にもなりかねません。

また、近年は人手不足の影響から、自動搬送設備やIoT機器の導入による省人化も求められています。

これらの設備も初期段階から設計に組み込まなければ、後からの増設・変更が困難になります。

結果的に、想定外の追加コストが発生したり、稼働開始のスケジュールに影響を及ぼす可能性があります。

設備設計は単に「どう配置するか」だけでなく、「どう最適な流れをつくるか」「どう維持・拡張していくか」を考えるものです。

物流の効率と安定性を支える根幹であり、戦略的視点が不可欠です。

建築設計だけでは不十分な理由

物流センターを計画する際、建築設計だけに重きを置いてしまうケースがありますが、それでは不十分です。

なぜなら、建築はあくまで「器」であり、実際の運用効率は中に入る設備とその設計次第だからです。

たとえば、動線を考慮せずに柱や壁が配置されると、自動搬送機やフォークリフトの通行が妨げられ、作業効率が大きく損なわれます。

また、建築側の設計と設備側の設計が連携していないと、後から電気・空調・LAN配線などの引き直しが発生し、工期やコストが大幅に増加する恐れがあります。

設備容量が不足すれば、機器の増設すらできなくなることもあります。

さらに、自動倉庫やAGV(無人搬送車)などの導入を前提とする場合、その稼働に適した床構造・天井高さ・照明配置なども、設備面から建築にフィードバックされる必要があります。

これを無視すると、高性能な機器が十分に機能を発揮できない事態にもなりかねません。

以下の表は、建築設計だけで計画した場合と、設備設計と連携した場合の違いをまとめたものです。

設計方法 発生しやすい問題 結果への影響
建築設計のみ 動線の不整合、電源不足、設備後付けによる改修 運用効率の低下、追加コストの増加
建築+設備連携設計 初期段階で課題を解決、設備に最適な構造計画 高効率な物流運用、将来の拡張性確保

物流センターでは、建築と設備の密接な連携によって初めて、業務効率・省人化・コスト最適化の実現が可能になります。

設備設計は計画初期段階から取り入れるべき、不可欠な要素です。

 

物流センター設備設計の基本要素

物流センターの設備設計においては、作業効率・安全性・将来の拡張性を見据えた「全体最適化」が不可欠です。

ここでは、中心となる4つの基本要素について詳しく解説します。

倉庫内レイアウト(動線・ゾーニング・保管方式)

物流センターのレイアウト設計は、業務効率を左右する最重要ポイントです。

作業員やフォークリフトの動線が複雑であれば、それだけで作業時間が増加し、事故のリスクも高まります。

そこで重要となるのが、スムーズな動線設計とゾーニング(エリア分け)です。

ゾーニングでは、入荷・検品・保管・出荷などの各作業ステージを明確に分け、無駄な移動を減らすことが求められます。

また、保管方式としては、パレットラック・移動ラック・自動倉庫などの設備を適切に配置することも効率化の鍵です。

商品のサイズや回転率に応じて配置を変えるなど、柔軟な対応も重要です。

レイアウト設計時には、以下のような比較をもとに最適な方式を選択します。

保管方式 メリット 注意点
固定ラック 安定性が高く、構造がシンプル スペース効率はやや劣る
移動ラック 省スペース化に有効 動作に時間がかかる
自動倉庫 省人化と高密度保管が可能 初期コストが高い

設計初期段階での導線・ゾーニング・保管方式の最適化が、後の運用コストや業務効率に直結します。

空調・換気・防塵対策

物流センターでは、取扱商品の性質に応じた空調・換気・防塵設計が不可欠です。

たとえば、精密機器や医薬品、食品を扱う場合は、温湿度の安定が品質維持に直結します。

一方で、段ボールや梱包資材が多い現場では、粉じんや静電気がトラブルの原因になりやすく、防塵対策が求められます。

また、作業員の快適性と安全性を保つためにも、夏場の高温対策や、冬場の結露・寒冷対策は重要です。

大型ファンやスポットエアコンの設置だけでなく、建築との連携により空気の流れをコントロールする設計が求められます。

さらに、換気設備は倉庫内の空気の清浄化だけでなく、CO2濃度の管理や、感染症対策の一環としても注目されています。

最近では、換気量を自動制御する省エネ型のシステムも普及しつつあります。

このように、空調・換気・防塵の各要素は、設備単体で考えるのではなく、倉庫のレイアウトや作業環境全体との連動で設計する必要があります。

電源・照明・ITインフラ設計

物流センターにおいては、多様な設備機器が稼働するため、電源の容量や分電設計が極めて重要です。

設備導入後に「電源が足りない」「配線ルートが確保できない」といった問題が発生すれば、稼働に大きな支障をきたします。

まず、電源設計では、コンセントの位置・容量・系統分けなどを細かく計画し、将来的な設備増設にも対応できるよう余裕を持たせることが必要です。

また、非常用電源やUPSの導入も、BCP(事業継続計画)の観点から重要です。

照明設計においては、省エネと作業性の両立が求められます。LED照明の導入はもちろん、エリアごとの照度制御や、人感センサーを活用した節電設計も有効です。

作業内容に応じて、棚下や高所に補助照明を追加する工夫も検討すべきです。

加えて、近年ではWMS(倉庫管理システム)や自動搬送機器、RFIDリーダーの使用が一般的になりつつあります。

これらを支えるLAN配線やWi-Fi環境の構築も、ITインフラ設計として初期段階から検討しておく必要があります。

自動搬送設備(AGV、コンベア)の導入設計

人手不足が深刻化するなか、AGV(無人搬送車)やコンベアなどの自動搬送設備の導入は、物流センターの効率化に欠かせない要素となっています。

しかし、これらの設備は「後付け」で対応できるものではなく、設計初期段階から導入を前提とした構造計画が必要です。

AGVを活用する場合、床の平滑性や傾斜の制御、通路幅の確保、障害物の排除など、走行環境への配慮が欠かせません。

また、搬送ルート上のセンサーや誘導ライン、充電ステーションの設置場所も計画に組み込む必要があります。

一方、コンベアは物品を連続的に搬送できるため、高頻度の出荷業務において非常に効果的です。

ただし、設置場所やラインの高さ、保守スペースの確保など、細かな設計が運用の成否を分けます。

下表は、AGVとコンベアの導入時の比較です。

設備 導入メリット 設計時の注意点
AGV(無人搬送車) 柔軟な搬送経路、拡張しやすい 床・通路設計、障害物の排除
コンベア 大量搬送・自動化に最適 レイアウトとの一体設計、保守スペースの確保

これらの自動搬送設備を最大限活用するためには、建築と設備の連携はもちろん、現場運用のシミュレーションを踏まえた設計が不可欠です。

設備設計の質が、物流効率を大きく左右します。

 

設計段階で考慮すべきポイント

物流センターの設備設計では、稼働効率だけでなく、エネルギーコストや災害時の事業継続性、将来的な運用変化にも対応できる設計が求められます。

ここでは、設計段階で押さえておくべき重要な3つの観点を解説します。

省エネルギー・環境配慮の設備導入

物流業界においても、カーボンニュートラルや電力コストの削減といった環境対策への取り組みは避けて通れません。

特に大型の物流センターでは、空調・照明・搬送機器の消費電力が膨大になるため、省エネルギーを意識した設備選定と設計が重要です。

たとえば、LED照明や人感センサー付き照明を導入することで、使用電力を大幅に削減できます。

また、空調においても高効率なインバーター機器の採用や、換気制御システムによる最適化が効果を発揮します。

屋根上に太陽光パネルを設置し、自家消費型の電源として利用するケースも増加しています。

さらに、雨水の再利用システムや、断熱性能の高い建材の活用も、長期的なランニングコストの削減と環境貢献につながります。

これらの省エネ設備は、補助金対象となることも多く、設計段階で活用を検討する価値があります。

以下は、物流センターでよく使われる省エネ設備の例です。

設備名 主な省エネ効果 導入時のポイント
LED照明 消費電力を約50%削減 高天井対応の照度設計が必要
インバーター空調 部分冷暖房による効率化 ゾーニングと連動した制御が効果的
太陽光発電 電力の自家消費・コスト削減 初期投資と設置スペースの確保

 

BCP(事業継続計画)を見据えた耐震・停電対策

自然災害が頻発する日本において、物流センターの設備設計にはBCP(事業継続計画)を見据えた対策が欠かせません。

特に地震や停電などによる被害を最小限に抑え、迅速な復旧が可能な体制を設計段階から組み込む必要があります。

まず、耐震対策としては、ラックや自動倉庫の転倒防止構造、設備機器の固定、免震装置の導入などが挙げられます。

建築構造と設備支持部の整合性を取りながら、設備が安全に稼働し続けられる構造計画が求められます。

停電対策としては、非常用発電機やUPS(無停電電源装置)の導入が有効です。

特に、WMS(倉庫管理システム)や通信設備が停止すると、作業全体がストップするリスクがあるため、重要設備への電源供給の優先順位とバックアップ体制を明確にしておく必要があります。

また、物流が分断された場合でも、在庫確認や一部出荷が可能なように、手動対応マニュアルの整備や、システムの分散設計もBCPの一環です。

BCPを意識した設備設計は、単なる「リスク対策」にとどまらず、顧客への信頼性向上にもつながります。

将来的な拡張・レイアウト変更への柔軟性

物流業界は事業環境の変化が激しく、設計時には想定できなかった商品サイズの変更や取扱量の増加、新たな自動化設備の導入といった運用の変化が発生する可能性があります。

これらに柔軟に対応できる設備設計が、長期的なコストパフォーマンスを大きく左右します。

たとえば、将来的な拡張を見越して、電源容量に余裕を持たせたり、配管・配線用の予備スペースを確保しておくことは非常に効果的です。

また、床構造や通路幅にゆとりをもたせることで、後からAGVやコンベアなどの機器を追加する際の施工をスムーズに行うことができます。

さらに、可動式ラックやモジュール化されたレイアウト設計を採用すれば、繁忙期・閑散期や、業務内容の変更に応じて柔軟に対応することが可能です。

変化に強い設計は、リスク回避だけでなく、新たなビジネス機会への迅速な対応にもつながります。

以下のような設計対応例を盛り込むことで、将来的な改修コストや工期の抑制が可能になります。

設計対応項目 将来変化への効果 設計時のポイント
予備配線・空配管 新機器追加の工事短縮 主要設備周辺に配置
可動ラック レイアウトの変更が容易 床強度と固定方法の調整
分電盤の系統余裕 設備追加時の即時対応が可能 成長計画を前提に容量設計

このように、拡張性・柔軟性を設計段階から組み込むことは、将来の業務変化に対する「保険」として機能し、長期的に安定した物流運営を支えます。

 

物流センターの設備設計でよくある失敗例

物流センターの設備設計においては、建築との調整不足や将来を見越した計画の欠如など、後戻りの難しい失敗が数多く発生しています。

ここでは、代表的な4つの失敗例を解説します。

建築設計と設備設計の連携ミス

物流センターの設計では、建築と設備が密接に関係していますが、両者の連携が不十分なまま進行するケースは珍しくありません。

たとえば、設備側で必要とする配管スペースやダクト経路が、建築設計段階で確保されておらず、施工時に設置位置を変更せざるを得なくなったり、天井の高さや柱の位置が搬送設備の導入を妨げるといった事例が発生します。

こうした問題は、設計段階で建築と設備の担当者が十分に情報共有できていないことに起因しています。

特に、自動倉庫やAGVなど、導入する設備が高度化・大型化している現在では、その影響がより深刻化します。

追加工事やレイアウト修正が必要になると、コスト増加や工期の遅延に直結します。

また、非常用電源やUPSの配置、給排気設備の開口位置なども建築と設備の連携が取れていないと現場での修正が発生し、結果として安全性や効率性が損なわれることもあります。

こうした連携ミスを防ぐには、BIMや3Dシミュレーションを用いた可視化と、設計初期からの一体的なプロジェクト体制が有効です。

設備容量不足による追加工事

物流センターでは、電源・空調・ネットワークといったインフラの設備容量が運用の安定性を支える基盤となりますが、この容量見積もりが甘かったために、稼働後に追加工事を余儀なくされるケースが後を絶ちません。

とくに電源容量の不足は深刻で、新たな自動化機器や冷暖房設備を追加しようとした際に、幹線容量が足りず、分電盤の増設や外部電源の引き直しといった大掛かりな対応が必要になることもあります。

また、ネットワーク回線や無線LAN設備の帯域が足りず、WMSや自動搬送システムが不安定になるといった事例もあります。

このような事態は、設計段階で将来的な拡張や設備増設を想定していないことが原因です。

コストを抑えるために最小限の仕様で設計を進めた結果、結果的に二重投資となり、全体のコストパフォーマンスを損なう結果となります。

設備容量については、少なくとも5年先の運用計画を見据えた上で、一定の余裕を持たせておくことが重要です。

また、予備の配線・空配管・分電スペースを確保しておくことで、将来の改修工事を最小限に抑えることが可能になります。

搬送効率の悪いレイアウト設計

物流センターの運用効率を大きく左右するのがレイアウト設計です。

しかし、「見た目の整然さ」や「施工しやすさ」だけを重視して、実際の搬送動線や作業手順を十分に検討せずにレイアウトを決めてしまうと、日々の業務で大きな非効率が生まれます。

たとえば、ピッキングエリアが入出荷動線と交差してしまう、AGVの走行ルートが狭くて頻繁に詰まる、保管エリアから出荷エリアまでの距離が長すぎるなど、設計段階で見落とされたレイアウト上の問題が、稼働後に現場の大きなストレスになります。

こうした問題を防ぐには、作業フローに基づいたゾーニングと、搬送経路のシミュレーションが不可欠です。

また、搬送頻度の高い商品を出荷口に近いエリアに配置するなど、ABC分析などの手法を取り入れたレイアウト設計が有効です。

以下のような比較表を参考に、レイアウト設計の初期段階から運用視点を反映させることが重要です。

設計アプローチ 主な特徴 リスク
構造優先型 施工性やコスト重視で設計 現場運用での非効率や交錯が発生
搬送優先型 作業動線と作業工程を考慮 初期コストがやや増加する可能性

搬送効率を無視した設計は、現場の負荷や物流全体のパフォーマンス低下を招くため、最重要項目として設計段階から検討すべきです。

メンテナンス・更新性の配慮不足

物流センターは、完成したら終わりではなく、継続的な設備のメンテナンスと、時代に合わせた機器の更新が必要です。

にもかかわらず、メンテナンスや更新を考慮せずに設計された施設は、将来的に大きな制約や追加コストを生み出すことになります。

たとえば、空調機器やコンベアの保守スペースが十分に確保されておらず、点検時に棚やラックを移動させなければならない、という例があります。

これでは作業効率が落ちるだけでなく、事故やトラブルの原因にもなります。

また、設備が老朽化した際に、交換に必要な搬入経路や仮設設備のスペースがないと、現場全体を一時的に停止しなければならないこともあります。

特に天井吊り下げ式の配線や配管などは、機器の交換時に重大な支障をきたすケースがあります。

メンテナンス性を考慮するには、各設備に適切な点検スペースを設け、更新時に分解・取り外しが容易な構造とすることが重要です。

また、記録管理をしやすいように、設備図面や配線図をデジタル化し、日常的な保守作業との連携も図るべきです。

このような観点を欠いた設計は、設備の寿命を縮め、維持管理コストを増加させる要因となります。

長期的な視点での設計が、結果的にコスト削減と安定運用につながります。

 

設備設計に強い設計事務所を選ぶポイント

物流センターの設備設計は高度な専門性と実務経験が求められるため、依頼先の設計事務所選びが成否を分けます。

ここでは、選定時に確認すべき4つのポイントを解説します。

物流施設の実績が豊富か

設計事務所を選ぶ際、まず確認すべきは「物流施設の設計実績が豊富であるかどうか」です。

物流施設には、製造施設やオフィスビルとは異なる特殊な要件が数多く存在します。

たとえば、ピッキング・搬送・保管といった作業を効率化する動線設計や、商品特性に応じた空調・防塵・保管温度の管理が必要です。

これらを把握していない設計者では、設備の配置ミスや運用効率の低下を招く可能性があります。

実績がある設計事務所であれば、過去の成功・失敗事例をもとに、実践的かつ現実的な提案ができるため、工事や運用段階でのトラブルも防ぎやすくなります。

さらに、物流分野特有の課題(短納期対応、省人化、作業者の安全性確保など)に対するノウハウを持っていることは、設計精度に大きく影響します。

案件ごとに異なる課題に対し、最適な設計アプローチを提案できる力は、実績に裏打ちされた経験から生まれます。

建築と設備の一貫設計ができるか

物流センターのような大規模施設では、建築設計と設備設計を別々の事業者が行うと、情報の共有不足により多くの問題が発生します。

たとえば、建物の構造が設備機器の設置に適していない、配管スペースが確保されていない、電源容量が足りないといった事態です。

これらの問題を回避するには、建築と設備をトータルに設計できる「一貫設計体制」のある事務所を選ぶことが重要です。

設計段階から両者が連携して進めることで、搬送動線・電気容量・空調ルートなどの整合性がとれ、後戻りの少ない合理的な計画が可能になります。

また、一貫設計であれば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)などの3D設計ツールを活用しながら、関係者間で視覚的にイメージ共有しやすくなるという利点もあります。

複数の部門が同時並行で設計調整を進められるため、工期短縮やコスト管理にもつながります。

建築と設備が分断された体制ではなく、一つのチームとして計画できる事務所こそ、物流施設の設備設計において信頼できるパートナーです。

最新技術(IoT・自動化)に対応しているか

現代の物流センターでは、IoTや自動化技術の導入が不可欠となっており、これらに対応できるかどうかも設計事務所選びの重要なポイントです。

たとえば、AGV(無人搬送車)や自動倉庫、AIによる在庫管理など、最新技術の活用には設備だけでなく、建物構造や通信インフラとの高度な連携が求められます。

このような設備を導入する場合、設計者が技術の仕組みを理解し、運用現場とのインターフェースを意識した設計を行えるかが重要です。

AGVの走行には床面の精度や通路幅、勾配などが影響し、自動倉庫の設置には荷重計算や耐震設計も不可欠です。

また、IoT機器の導入には、Wi-Fiの死角が生じないような通信環境設計も求められます。

さらに、物流システムベンダーとの協業経験がある設計事務所であれば、機器導入後の運用もスムーズに進められる可能性が高くなります。

以下のような技術対応表を確認することで、設計事務所の対応範囲を事前に把握できます。

技術項目 対応の有無 設計上の留意点
AGV 走行ルート・床精度・充電スペース
自動倉庫 荷重・耐震・電源容量
IoT環境 LAN配線・Wi-Fi強度・センサ設置

技術の進化に対応できる設計者の存在は、長期的な施設の価値を高める大きな要因となります。

維持管理を見据えた提案ができるか

物流センターは稼働開始後も日々のメンテナンスや将来的な改修が不可避であり、それを見越した設計提案ができる事務所かどうかも見極めるべき重要な要素です。

たとえば、空調機器や搬送設備の点検スペースを確保しているか、設備の更新時にスムーズに交換できる構造になっているかなど、運用フェーズを想定した配慮が設計に盛り込まれているかが問われます。

これが不足していると、数年後に設備更新のたびに大規模な工事が必要になったり、保守のたびに作業が長引いて現場の稼働に影響するなど、多くの問題を引き起こします。

特に高所設備や床下配管など、普段目に見えない部分にこそメンテナンス性を確保する工夫が必要です。

また、設計段階で機器ごとの点検スケジュールや交換周期を一覧化した「維持管理計画書」を提示してくれる事務所であれば、管理部門の負担も軽減され、将来的な計画も立てやすくなります。

設備の寿命を延ばし、トータルコストを抑えるためには、設計段階から「運用後のこと」まで考慮した提案ができるかが大きな判断基準となります。

維持管理まで視野に入れた設計こそが、信頼できるパートナーの証です。

 

まとめ

今回の記事では、物流センターの設備設計について解説しました。

設備設計の初期段階から建築との連携や将来の運用を見据えることが、無駄なコストや手戻りを防ぐ鍵です。

失敗を避けるためにも、専門知識と実績のある設計事務所への相談をおすすめします。

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